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大阪の今を紹介! OSAKA 文化力|関西・大阪21世紀協会

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料理研究家 田中愛子さんの“ 食 ”のエッセイ

愛子さんの大阪の暮らし

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大阪の気骨

古くから大陸交通の玄関口として開けてきた大阪は、それこそ"なにわ"の昔から日本の産業文化の中心であり、様々な国々の物産が集散する「天下の台所」としてその繁栄を誇り、いわゆる「大大阪」という時代を築きました。
そして、大阪の商人たちはその豊かな経済力を背景に独特な上方文化の花をさかせたのです。その奔放なパワーは大きな力にも屈しない、独自の目線を持つジャーナリズムを大阪に生み出しました。 それが「滑稽新聞」。1901年(明治34年)1月25日. 宮武外骨が大阪で発行した雑誌型〔A4判通常20ページ〕の権力風刺新聞(月2回) (強者を挫い弱者を助け、悪者に反抗して善者の味方になる)の発行趣旨のもと権威を振り回す官吏、検察官、検事、裁判官、政治家、僧侶、悪徳商人、悪徳新聞に筆誅を加え、詐欺広告やゆすりを告発するなど、痛烈過激の記事を風刺画入りで満載したため、庶民の人気を集め、最盛期には8万部を発行したとか。
そういうことも私自身よく知らず、堂山町にある小さなギャラリー「ワイアートギャラリー」の前を通り過ぎようとしたとき、目にとまった一枚の絵。その絵に惹かれてギャラリーの中に入ると、様々な絵葉書が展示してある。その愉快さ、豪胆さ、繊細さ、可愛さ、そして、モダンな色使いとなんとない色気。黄ばんだ和紙から醸す雰囲気がなんとも魅力的。
それは、新聞の販売促進を目的に、1907年(明治40年5月)から1909年(明治42年6月)まで、切り離せば30枚の絵葉書になる別冊を26集発刊したものの中のものだそうだ。
合計780枚の郵便はがきは明治の風俗をユーモラスに表現し、多いに人気を博したそうです。作者は判明しないものも多いのですが、海外でも人気となり、ボストン美術館に629点所蔵されているそうです。

INDEX

私は、額入りなのにお値段もリーズナブルなので、思い切って10作品かうことにしました。
今回の作品群は1908年と記されてあるので、110年前(明治41年)のものです。時代を感じさせる可愛い子供たちの年賀状。兵隊さんが日章旗を持って行進しているのもある。そして、家族の元旦を祝う風景。一人一人が黒塗りのお膳の前に晴れ着を着て座る姿は清々しい。「メデタイ オ正月」とはがきの隅に書いてあり、お母さんも黒紋付で屠蘇の用意をしているよう。「ハレ」の日と「ケ」の日がくっきりと分けられて暮らしていた時代。特に正月の「ハレ」の日は特別に家の隅々まで掃き清めて、新しい年の祝いを心から喜び、歳神様を家にお迎えするめでたい日なのです。
家族総出で準備してきた縁起もののご馳走を詰めた重箱を開けるときのうれしさは私の幼い頃も同じで、家族みんながワクワクしていたのを思い出します。はがきのお膳のお皿には何がのっているのかしら。私は大の卵好きなので、「伊達巻」が大好き。伊達政宗が江戸入城するときに、綿入れの派手な着物を着、帯も太くぐるぐる巻いている様子から、派手な卵焼きという意味でそう呼ばれました。その頃砂糖も卵も大変高価だったので、たいそうなご馳走です。台所ですり鉢に卵と魚の白身を入れて、時間をかけてすり合わせていましたが、今はフードプロセッサーやオーブンがありますから、最も簡単にできるご馳走となりました。 是非、一度お試しください。

それでは、他の作品をご紹介します


  • とぼし(灯し) 作者 米野白水
    若い女中さんがガス灯のに火をつける様子が、ガス灯のガラスをちよっと足に挟んで、何とも言えず可愛らしさとその無心な様子があたりの暗さや季節を感じさせる。米野白水という画家はどういう人か分からないがたくさんの絵葉書を残している

  • 貝合わせ(源氏物語)作者不明
    優美な色合い、華やかな構図。着物の絵柄のような美しさ。お雛様のときに、飾ろうと思って購入。

  • 弱者の威嚇 作者 米野白水
    痩せたカマキリが大輪の荷車に向かって大声をあげて、威嚇しているとは、時々私もこの心境のときがある。カマキリの心情がわかるわぁ。中国の故事にあるそうです。

  • 花と花 作者不明
    何と言っても、この大胆な構図、目を引く「赤」の力強さ。モダニズム溢れる作品

  • すずしいことよ 作者不明
    夕暮れのかわ風がそよぐ岸に浮かぶ船に、ほっそりとした夏の着物姿の女人。それも後ろ姿。これこそ一服の絵。なんとなんと!!

  • 風呂屋の番台 作者不明
    こんなことが絵の素材にしてしまうところに、作者のユーモアとだけで収まらない人生観がある。番台のおばさんの表情が面白い

  • 盛んなるかるた会 作者不明
    よっぽど楽しみにしていたのかな、履物が脱ぎ散らかっている。この絵のベースのベージュの色が、なかなか洒落てる。履物も風物詩の一つとなる

  • つもる想ひ 作者不明
    この絵のが一番好き。雪も積もれば、切ない想ひもつもる。友達付き合いでついてきた友人の頭にも雪が積もる。この恋が真剣なほど、ユーモアがます。人とはこういうものなんだな。でもなんとなく可笑しい。
伊達巻卵
  • 【材料】
    6個
    はんぺん 100g
    出汁 大さじ2
    砂糖 大さじ4
    みりん 大さじ6
    小さじ1/2
    醤油 小さじ1/4
    適宜
  • 【作り方】
    1. 油以外の材料を全てフー ドプロセッサーにかける。
    2. 天板をコンロにかけ、 たっぷりの油をひき
    熱くなったところへ卵液を流し入れ、 均等に焼き目をつける
    3. 160℃に温めたオープンで約10分焼き、オーブンを200℃に上げしっかりと焦げ色がつくまで5分程度焼く。
    4. 巻き簾でしっかりと巻いて形を整え、 冷えるまでそのままにしておく。切り分ける。
写真 宮本 進
デザイン 田中 稔之

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Aiko Tanaka田中 愛子(たなかあいこ)プロフィール

  • 大阪樟蔭女子大学教授
  • 世界家庭料理家
  • エッセイスト
  • 食育ハーブガーデン協会理事長
  • 日本料理国際化協会理事長

1949年 大阪西区に生まれる。
大阪樟蔭女子大学英米文学科在学中にお見合い結婚、一男一女に恵まれる。家事のかたわら、料理家吉岡昭子氏に師事、家庭料理の基礎を学ぶ。
1987年夫裕氏がニューヨーク五番街で高級和食店をオープン。以後、世界の各地、イタリア、オーストリア、香港、韓国など事業の展開と共に、多くのパーティーコーディネートを携わり研鑽を積む。
海外生活で見聞を広げ、その成果を2001年「グッドギャザリンク フロム ニューヨーク」文化出版社刊 にまとめ、以後 料理家としてテレビ、雑誌、取材などに活躍の場を広げる。
「次世代の子供たちや、地球のために今できること・・食卓の上のフィロソフィー」を理念に、食育活動に力を注ぎ、現在150施設で実施している。
また、ニューヨーク以来のテーマ「日本料理を世界へ広げる」活動も年々充実。海外で「日本料理」のセミナーや講演など人気を呼ぶ。
日本で「フードスタディー」の第一人者であり、これからの地球のために、持続可能な「食」のあり方を提案し続けている。
最近の著書「食卓の上のフィロソフィー」旭屋出版刊 は今、話題の一冊である。
著書「おいしい たのしい グッドギャザリング フロム ニューヨーク」文化出版局刊、「和食のギャザリング」 旭屋書店刊、「I miss you! もう一度会いたい」 など多数

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