
鶴麺
【住所】
〒538-0053
大阪府大阪市鶴見区鶴見5-1-9
【営業時間】
11:00 - 15:00、18:00 - 1:00
【電話番号】06-6939-2126
【定休日】定休日無し
TSURUMEN Oriental noodle
【住所】
〒534-0025
大阪府大阪市都島区片町1-9-34
【営業時間】
11:00-15:00、17:30-22:00
【電話番号】06-6881-0755
【定休日】定休日無し
第40話 美味しい料理は人を幸せにする
2年に渡りこのページを担当させていただき、ラーメンと大阪をテーマに「食」というものを自分なりに掘り下げながら書き続けてきたこの連載も今回で最終回となりました。ラーメン職人としてお客様にラーメンを作りながら感じる事をこの連載で綴るうちに、自分でもたくさんの事に気付かせていただきました。最後は「食」の力のお話をしたいと思います。
「食足世平」
食が足りてこそ、世の中が平和になる。

チキンラーメンの生みの親である日清食品創業者の安藤百福さんが残した言葉です。戦後、物がない時代には、食は最低限の幸せの条件でした。そして、現代に暮す僕たちは、食べ物に困ることから程遠い「飽食の時代」を生きています。ただ食料としての「食」は満ち足りているのが今の日本の現状です。そこで料理人としての仕事を見直すうえで、僕はこう考えるようになりました。
「美味しい料理は人を幸せにする」
飽食の時代だからこそ、幸せを感じる食生活が大切なのではないでしょうか?
有り余るほどある食べ物に埋もれてしまい、食に対する感謝が薄れているのではないでしょうか?先週、瀬戸内海でイカナゴが解禁になりました。
僕が小さな頃は、この時期は家庭でおばあさんがイカナゴの釘煮を作る光景をよく見かけました。多く作りすぎたイカナゴをご近所さんに配る光景は日常だったように思います。痛むのが早いイカナゴは、釘煮にして、美味しく長持ちさせるという知恵がありました。保存のきく食料が溢れる現代にはその必要はなく、この風習も減ってきたように思います。家庭料理の大切さを今一度考え直し、伝えていきたいものです。
僕には、闘病生活中の父がいます。実家に帰ると、食が細くなり、口からの食事の量が減り、点滴で栄養を摂り、体重が減っていく父の姿がありました。食べたいものや食べられるものがなく、母も食事を作るのに困っていました。

そんな父から、僕の作るラーメンが食べたいとリクエストがありました。
ラーメンなら食べられそうだということなので、早速僕は店で打った麺とスープを持ち込み、父にラーメンを振舞うことにしました。父は、麺をすすり、スープを飲み、ラーメンを完食し、幸せそうな笑顔で「ありがとう」と僕に言いました。
「美味しい料理は人を幸せにする」
食べた人も、そして料理を作った方も幸せになる。そう感じた瞬間でした。
最後に、改めましてこのような機会を与えていただきました関西・大阪21世紀協会の皆様をはじめこの連載に携わった方々に大変感謝しております。これからも、大阪の文化としての「食」の発信と発展と、日本文化としてのラーメンの発展と普及に力を尽くしたいと思います。
そして、2年間お付き合いいただきました読者、閲覧者の皆様ありがとうございました。大阪と食とラーメンの素晴らしさを少しでも感じていただければ幸いです。
また、ラーメンを通して読者、閲覧者の皆様にお会いできる日を楽しみにしております。
