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関西・大阪21世紀協会は「文化力向上」「関西・大阪のイメージ向上」「水都大阪まち育て」の三本を軸に「関西・大阪の文化力向上」を目指します

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ヘルシーさと風味豊かさでブレイクしたタジン鍋

 

注目の流行鍋:タジン鍋「油も水もいらない魔法の鍋が異国から上陸!」

栄養素を損なわない蒸し料理ブーム

タジン鍋

ひと頃のように色んな料理が出てきた時期と比べると、今は静かなもので、2010年に大流行した「食べるラー油」や、ドリンクの1アイテムにまで成長した「ハイボール」以外には、際立った食のブームは見られない。ただひとつ健康志向を背景に持った『タジン鍋』だけが静かなブームといえるかもしれない。

 タジン鍋が流行るきっかけには、蒸し料理にスポットが当たったという背景がある。世の健康志向が高らかに謳われ、調理レシピにもカロリー表示が当たり前になったこの時代に、油をあまり使わず、栄養素をたっぷり残した蒸し料理が注目された。

これまでなら、調理の1アイテムとしか思われていなかった蒸し鍋も、その専門店ができるようになり、グルメの一角を占めるようになったのだ。そんな時期に、当たったのがタジン鍋である。書店に足を運ぶと、料理本コーナーに、やたらとタジン鍋を紹介する本が並んでいる。今や蒸し鍋のアイテムを通り越し、タジン鍋がその代表であるかのよう持て囃されてきている。

突んがり帽子に秘密がある

そもそもタジン鍋とは、北西アフリカ、モロッコで使われている鍋をいう。材質は土鍋と同じ陶器だが、形状がユニークで、突んがり帽子のような形は一度見たら忘れられない。中国の鍋にも真ん中が突起して、そこから湯気や熱などを出すものがあるが、それとは異なり、帽子状をした蓋になっている。そして鍋部分は浅くて蓋に湯気抜きの穴があいていないのが特徴だ。なんでも蓋の表面が大きいために、水蒸気を効率よく冷やす働きがあり、重さもあるので蒸気を逃がさない仕組みになっているらしい。蒸された食材の水分が、水蒸気になって鍋内部で上昇し、突んがり帽子状の蓋に当たって、冷やされて鍋に戻ってくる。この状態を繰り返して調理されていく。水滴は蓋との間にたまり、密閉状態(ウォーターシール)を作り出す。機密性があることから、揮発性の香り成分が食べる前まで鍋の中にたまって保持される。これがタジン鍋の最大の特性といえよう。

 タジン鍋は日本の鍋物のように食べながらグツグツ煮るパターンではない。そのために匂いの成分も水蒸気といっしょに結露して液体になり、鍋の中へ戻っていく。水分が飛ばないということは、調理に使う水分も少なくて済むし、加熱時間も短くはなる。加熱することで破壊されるビタミンの量が少なく、煮汁に溶け出して薄まることもないので、より美味しくなるといわれている。この点がグルメに評価されたのであろう。蒸し料理にスポットが当たるようになった昨今、この鍋を使っての料理が評価を受けたのも理解できる。

料理ではなく、モロッコ生まれの土鍋のこと

タジン鍋

タジン鍋とは、料理そのもののことではなく、元来は料理の際に使われる陶製の土鍋を指している。モロッコでは飲料水は貴重で、できるだけ水分を使わずして調理ができればと考えて、タジン鍋が誕生したわけだ。ちなみにこの鍋は、砂漠の先住民であったベルベル族が少ない水で煮込み料理を作るために考え出したと伝えられている。 タジン鍋は、モロッコだけではなく、アルジェリアやチュニジアでも用いられている。ただ、チュニジアのそれはポットの形が違うようだ。タジン鍋の特徴のところで、突んがり帽子型の蓋には穴がないと記したが、正確には穴があるものもある。穴のあるものは、沸騰すると、当然の如く湯気が出てくる。

一方、穴のあいていない鍋では、沸騰すると縁から吹いてくるのでわかるようになっている。沸騰してもさらに長く調理したい場合は、蓋と鍋の間にスプーンなどを挟んで湯気の出口を作って調理を行うといい。

 タジン鍋は火加減と水分の調理が味を左右する。基本的には弱火で調理すること。料理するものによっては、初めは中火で、吹きそうになったら火力を弱めるようにして作っていくのがいい。弱火でゆっくり温度を上げる方法を用い、野菜の持つ水分のみで蒸すのだが、時間もかかる上に、焦げつく恐れもある。むしろ、食材の水分を引き出すための“呼び水"を加え、中火にして沸騰までの時間を短縮した方がいいのかもしれない。

野菜ブームが拍車をかけた

タジン鍋

日本においてタジン鍋は、ヘルシーな蒸し料理のアイテムとして派生したからだろうが、なぜか野菜を蒸す料理に用いられているケースが多い。しかし、モロッコではオールマイティな調理器具として使われており、これを使って焼く、煮る、蒸すの調理を行っている。野菜や肉、魚介類は勿論のこと、ご飯や麺、スイーツまで、これがあればできるのだ。

 モロッコで多用されているタジン鍋は、実は本場のものがあまり日本には入って来ていない。売られているのはル・クルーゼやエミールアンリなどのフランス製か、有田焼などの日本製のものがほとんど。陶器製品の他にも鉄製やホーロー製のものもある。最近では、電子レンジとオーブンで使うことが可能なシリコンゴム製のものも登場している。

素材の旨みを閉じ込める鍋は水なし、油なしで健康志向にマッチ

とにかく形が可愛い、ヘルシー要素が強い、土鍋感覚で使えて、しかも、野菜は風味が濃くなり甘みがアップするといった理由から日本でブレイクしているタジン鍋。一過性の流行に終わらせるには、もったいない調理器具だといえよう。

しかし、日本の伝統的な鍋料理には、ダシ(液体)がつき物だが、タジン鍋の料理には水分が少ない。たしかに、タジン鍋は鍋ではあるが、日本における鍋料理が持つ、料理としての要素は少ないのかもしれない。むしろ、蒸し料理を作る鍋として定着しているようだ。

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