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第26回IUPAC化学熱力学国際会議の開催

事業報告

  • 第26回IUPAC化学熱力学国際会議の開催 写真紹介:全体写真
    写真提供:ICCT2023実行委員会
  • 第26回IUPAC化学熱力学国際会議(ICCT2023)は国際純正・応⽤化学連合(IUPAC)が後援し、日本学術会議と日本熱測定学会が共同主催になる会議で、対面形式で開催し、化学熱力学に関わっている世界の研究者が集まり、生体、食品やコロイド分散系、高分子や有機化合物、無機や金属の溶液から固体までの幅広いテーマについての最先端の研究成果を議論します。また、産業応用や環境問題、安全性に関する研究発表もあります。
開催期間 2023年07月30日~2023年08月04日
開催地 千里ライフサイエンスセンター
アクセス 北大阪急行線千里中央駅より徒歩2分、大阪モノレール千里中央駅より徒歩5分
https://www.senrilc.co.jp/access/japanese.html
助成決定金額 2,400,000
連絡先 大阪大学大学院理学研究科 熱·エントロピー科学研究センター TEL: 06-6850-5523
ホームページ https://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/micro/ICCT2023/index.html

1. 会議の目的、ねらい、構成

第26回IUPAC 化学熱力学国際会議(大阪での開催決定時は27回の予定であったが、Londonでの開催がコロナ禍により正式にキャンセルになり第26回目の開催と番号が変更になっている)が2023年7月31日から8月4日の日程で開催された。開催場所は千里ライフサイエンスセンター (〒560-0082大阪府豊中市新千里東町1丁目4番2号 TEL:06-6873-2010 https://www.senrilc.co.jp/ )である。会議名にある「化学熱力学」は、自然科学の基礎要素である熱力学を具体的な物質に応用し、物質の性質と化学反応を解析すると共に、さらに進んでその制御に応用することを目的とした学術研究であり、本会議は当該分野の最大規模の国際会議である。国際的に化学研究全般を統括する組織である、国際純正・応用化学連合(IUPAC)の正式な認可のもと、国際化学熱力学連合(IACT)が開催の母体団体となる一連の会議であり、第26回目の開催は、日本熱測定学会が学術会議と共同主催するかたちで開催された。会議のメインテーマとして、「持続可能な社会と化学熱力学」とし、持続可能な社会の形成にむけた各分野での研究を発表された。物質開発やエネルギー問題、環境問題等もターゲットにした最先端の成果と議論がなされ、今後にむけての学術的、技術的な発信をおこなった。具体的な会議の進行は、メインテーマのものと、1. 溶液、相平衡、2. コロイド・界面、3. 生物熱力学、4. 生体材料 (食品・医薬品), 5.有機・高分子、6.無機・金属)、7. 物性科学、8. 新実験法・装置開発、9.データ・産業応用、10. 環境問題・安全等に関するセッションをもうけて、全体講演、招待講演、一般口頭発表、ポスター発表のかたちで進められた。コロナ禍による開催中止などが続き、5年のインターバルを経て、30を超える国と地域から数多くの研究者が来日し、ポストコロナに向けた化学熱力学研究の先端研究の発表と議論が活発に行われ、同時に開催母体であるIACTを中心に今後の会議のかたちを検討され、世界の熱力学研究の推進のための重要な機会を提供した。

2. 会議の各種データ

参加者  参加者総数333名 (オンライン参加者10名) 32カ国1地域
     参加者内訳
(オーストラリア10, オーストリア 2, バングラディッシュ2, ブラジル4名、ブルガリア 3、カナダ1, 中国16, チェコ2, フィンランド2, フランス8, ドイツ3, ギリシャ 5, 香港2, インド10, イスラエル1, イタリア1, 韓国18, ノルウェー 1, パキスタン1, ポーランド 3,  ポルトガル4,  南アフリカ 3, ロシア2, スペイン3, スイス2,  台湾 11, タイ 4,ウクライナ1, 英国(UK) 5,  アメリカ(USA) 11, 日本190)
Accompany参加者 5名

プレゼンテーション総数 300件
(全体講演10件、Rossini Award講演 1件、招待講演24件、一般口頭発表 132件
ポスター発表 130件、スポンサー講演3件)

発表スタイル;英語 対面発表、オンライン発表(口頭発表に限る 9件)

3, 開催内容の概要(写真等は、別添えのファイル)

7/30日から8/4日の間に以下のような学術プログラム、交流プログラム、会議、各種のイベントがなされた。概要を以下にまとめて報告する。

★市民公開講座 (7/30日 14:00-16:30)
7/30日(日)の午後(14:00-16:30)に、本会議の開催に市民公開講座を開催した。市民公開講座では、化学熱力学が密接にかかわっている温暖化等の環境問題、再生エネルギ―の問題などを主要テーマにおき、同分野の専門家によって社会生活と熱の問題をわかり易く解説して頂く講演を行い、温暖化がなぜおこるのか、それを抑えるために最先端でどのような研究が進められているのか、また化石燃料にかわるエネルギーをどのように開発、利用していくかを、それぞれの問題を専門に研究を進めている地球環境産業技術研究機構(RITE)の余語克則先生、弘前大学の神本正行先生に、わかり易いかたちでのご講演をして頂いた。また、講演を聞くだけの企画にならないように参加者から、講師の先生にむけた質問等をうける機会としてパネルディスカッションの時間をつくり、市民からの質問に出来る限り答えて頂く機会を設定した。また、講座は、対面開催で行ったが、会場に入れない希望者やコロナ禍の影響が残る中、対面形式を望まない参加者、遠方からの参加者にむけてオンライン等でも配信を行った。さらに時間が合わない参加者にむけてオンデマンドの配信も行うことも計画し、ポストコロナの時代にむけた多様な参加形態での対応を行った。また、現地参加される方にむけて、本会議のテーマである化学熱力学研究が開催地の大阪でどのように展開してきたか等を展示等で知って頂くとともに、化学熱力学国際会議が日本とどのような関係をもって発展したきたか等の展示を行った。参加者は、オンサイトで70名オンラインで57名であった。講座のオンデマンド配信も行った。

★ウェルカムレセプション(7/30日 18:00-19:30)
7/30日の午後から、参加者の参加登録を開始し、夕刻からウエルカムレセプションを行った。ビュッフェ形式、立食パーティのかたちで行った、参加者は140名程度であった。

★オープニングセレモニー
7/31日9:00-9:50に会議全体の開会式が行われた。組織委員会の実行委員長である斎藤一弥 筑波大学教授の開会挨拶のあと、共同主催である日本学術会議の高村ゆかり副会長の挨拶があった。その後、開催の母体国際組織である国際化学熱力学連合(IACT)のMartin Trusler教授(ロンドン王立研究所)、来賓としてご参加頂いた共催組織である大阪大学理学研究科の深瀬浩一教授、国際純正・応用化学連合(IUPAC)を代表して所裕子筑波大学教授のスピーチが行われた。最後に日本熱測定学会の会長である中澤から会議の概要の説明と挨拶がなされた。

★全体講演
全体講演は7/31日-8/4日の午前中に行われた。7/31日は3. 生物熱力学(Ernesto Freire教授 USA) 6.無機・金属(Luis A. Perez-Maqueda教授 スペイン)、7. 物性科学(Meigan Aronson教授 カナダ)の各分野、8/1日は4. 生体材料 (食品・医薬品) (Dorothy Beckett教授 USA), 5.有機・高分子分野(Sindee Simon教授 USA)、8/2日は、2. コロイド・界面 (Hiroki Matsubara教授 日本)、10. 環境問題・安全 (Qingsong Wang教授 中国)、1. 溶液、相平衡 (Watson Loh教授 ブラジル)、8/3日は8. 新実験法・装置開発(Christophe Schick教授 ドイツ)、9.データ・産業応用 (In-Ho Jung教授 韓国)の各分野の第一線の研究者による講演がおこなわれ活発な質疑応答がおこなわれた。8/4日では化学熱力学分野の最高権威のある国際賞であるRossini Awardの受賞講演がGeorge Jackson教授(英国)によって行われた。

★オーラルセッション(招待講演、一般講演)
全体講演の後、4会場にわかれたパラレルセッションのかたちで口頭発表が行われた。24名の招待講演者が30分の講演を行い、一般講演(プログラム委員会で選定)が20分のかたちで行われた。講演数は132件であった。

★ポスターセッション
7/31日の夕方(PS-Iセッション 18:20-20:00)、8/3日の夕方(PS-IIセッション 18:20-20:00) にポスターセッションが行われた。PS-Iセッションが73件、PS-IIセッションの発表が57件であった。

★若手の会
8/1日の夕方(18:20-20:00)に若手の会を開催した。最初にIACTの若手賞の受賞式が行われ、受賞者2名が表彰された。その後、各国の若手研究者の交流会が開催された。参加者は80名程度であった。

★エクスカージョン、特別プログラム
8/2日(水)の午後は、学術セッションの予定がないため、各種のイベント、プログラムが企画された。コロナの問題もあるため、エクスカージョンは少人数の企画を中心に進めた。大阪市内の体験ツアー、箕面の散策ツアーという2つの少人数プログラム(Deep experience)を大阪観光局、ユニアース社と連携して準備した。また大阪大学博物館のフリーツアーを別プログラムとして用意した。また、バイオインターラクショングループとの合同セミナー、特別講演プログラムを企画した。少人数ツアーの参加者は各10名程度、合同セミナーは40名前後、特別講演プログラムも40名程度の参加者であった。

★懇親会 (8/2日 19:00-21:00)
8/2日(水)の19:00より千里阪急ホテル仙寿の間で懇親会が行われた。参加者は139名、着席形式でコース料理が用意された。来賓、関係者、国際的な熱力学団体の代表者から挨拶があった。

★企業展示、ブース展示
会場ロビー、ポスターセッション会場を使って、スポンサーによる装置の展示が行われた。各種熱分析装置や、新しい複合装置などの展示に多くの参加者が立ち寄り情報収集が行われた。また、会議に関係したプログラムの連携先である大阪観光局と地元北摂の観光拠点である箕面観光協のブースをつくり、大阪の観光資源の紹介を行った。さらに関西地区にある彩都、京阪奈の二つの研究学園都市と連携し、会議に参加している国内外の化学熱力学の研究者や博士研究員、大学院学生に対して、紹介をするブースを設置した。彩都につては、彩都プロジェクト推進G, 京阪奈については関西文化学術研究都市 けいはんな文化学術協会の協力を頂き、国内外の研究者に地域の学術都市の特徴をアピールし国際会議の招致や国際交流の増加への可能性をアピールした。

★スポンサー講演セッション (8/2日 12:00-13:00)
プラチナ、ゴールドスポンサーとして参加頂いた3社によって、装置の特徴や新しい技術の紹介を行う講演会を8/2日の昼の時間に行った。セッション中は昼食等の持ち込みも可とした。

★クロージングセッション
8/4日の12:00から会議の閉会のセレモニーが行われた。齋藤一弥実行委員長のメッセージの紹介の後、会議中のビジネスミーティングで決定された、次回2025年のICCTの開催地であるポルトガルのポルトでの開催計画が発表された。その後、ポスターセッションの中から選ばれた、ポスター賞4件が発表され表彰式が行われた。最後にIACT会長のMartin Trusler教授から閉会の挨拶があった。

4. 会議開催の成果など

本会議の開催により成果は、以下のようなかたちで整理することができる。
・化学熱力学分野の大規模な国際会議を対面主体で開催し、同分野の研究の進展と、今後の可能性について幅広く議論をおこなうことで、学術の発展や測定技術の向上につながる貢献ができた。
・コロナ禍による様々な問題があるが、途上国からの参加の支援のためにTravel Grantなどをつくり、欧米のみでなく、アジアの各国、アフリカ、南米からも多くの参加者があり分野の世界的な拡大に貢献することができた。今後の同会議や関連分野の国際会議の誘致にむけてもポジティブな材料を提供することができた。
・対面主体の開催であるが、オーラルセッションについてはハイブリッド化することで広く情報発信をすることをおこなった。
・化学熱力学国際会議を5年間のブランクの後に開催し、ボード会議、ビジネスミーティングを通して今後への方針と国際会議としての今後運営体制を決定確認した。
・市民公開講座や各種イベント、ブース設置によって地元の方にもSDGsの問題や環境、エネルギー問題につて考える機会をつくることができた。また、オンライン化の推進によるフレキシブルな対応によって参加希望者に多様な参加形態を提案できたことは今後、学会等で行う市民講座にむけて意味があった。

  • 市民公開講座 パネルディスカッション
    市民公開講座 パネルディスカッション

  • オープニングセレモニー 組織委員長の挨拶
    オープニングセレモニー 組織委員長の挨拶

  • 全体講演 USA D.Beckett教授
    全体講演 USA D.Beckett教授

  • 口頭発表 D会場 物性科学
    口頭発表 D会場 物性科学

  • 企業展示
    企業展示

  • 若手の会 若手賞の表彰式
    若手の会 若手賞の表彰式

  • ポスターセッション
    ポスターセッション

  • 懇親会 千里阪急ホテル
    懇親会 千里阪急ホテル

  • スポンサーセッション 製品、技術紹介
    スポンサーセッション 製品、技術紹介

  • 閉会式 実行委員会事務局長の挨拶
    閉会式 実行委員会事務局長の挨拶

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