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関西・大阪21世紀協会は「文化力向上」「関西・大阪のイメージ向上」「水都大阪まち育て」の三本を軸に「関西・大阪の文化力向上」を目指します

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アイデア満載の創作鍋の先駆け

近代大阪を代表する鍋「バカス鍋」が生まれたのは約30余年前のこと。酒粕と味噌で風味付けされたおでん風の鍋だ。「おでんのようであり、でも、卓上に鍋を置いて温めて食べるので、鍋なんですよ」と話すのは三代目店主の高浜靖宏さんだ。
名前の由来は、お酒の神様である“バッカス"からきてているのだそう、また、酒粕(さけかす)の読みとかけているところは、実に大阪らしい。『バカス鍋』とは、初代が付けた名前なんですよ。とてもアイデアマンで、かつセンスのある人でした」と高浜さんは、故人を偲ぶ。「麦壽寿」と書いて、当て字も用意されており、ハレの日にぴったりな鍋として売り出した。


酒粕と味噌、そしてトンコツのダシが体を芯から温めてくれる。

昭和50年過ぎに登場した「バカス鍋」は、この斬新な味わいが話題となり、一躍人気を呼んだ。一時は、梅田、本町、天王寺など市内各所に6店舗まで増えたが、今はその味を継承するのは、淀屋橋の一店舗だけとなってしまったため、往年のファンが連日押し寄せる盛況ぶりだ。「今では、このレシピを知る人は数人いません。昭和を代表するオリジナル鍋を継承していくのが、私の責務だと思っています」と高浜さんは志を語る。
味わいは創業当時のまま。今までにない発想でバカス鍋を開発した初代オーナーは、美意識も高く、味は勿論、見た目の面白さや、楽しさにもこだわったのだそう。その形が今も、忠実に受け継がれている。食通でもあった初代オーナーは、料理学校で料理を教えるほどの腕を持っていたのだとか。
店内は、今も当時のおもかげを残す。黒と赤を基調とした店内は、今でも十分に洗練された空間は、当時としては、とてもモダンでオシャレな空間だったのだろう。「鍋というと畳の座敷でワイワイと食べるイメージしかなかった時代です。鍋をオシャレに楽しむことも、提案したんです。そのため、時代に敏感な人や、マスコミの関係のお客さんも多かったようです。デートにもぴったりな雰囲気だったと思いますよ」と高浜さん。また、当時から、銅でできたオリジナルの鍋を作っていた、味だけではなく、食事を取り囲むすべてのものにこだわる姿勢が伺える。初代オーナーの洗練された美的センスと、時代を先取りするアイデアの賜物といえよう。

ワクワクと心躍るご馳走鍋

バカス鍋の味の決め手は、厳選された酒粕と味噌だ。酒粕は、山形県の酒蔵から仕入れる生の吟醸酒のもので、見た目は甘酒のようにトロトロしている。すっきり辛口で、香り高い吟醸香が鼻をくすぐる。味噌は、香り高い信州のはと麦味噌を使っている。「どちらも、長いお付き合いをさせてもらっています。バカス鍋の味を長年支えてくれているんです。この酒粕と味噌でなければ、この味は作れません」と高浜さんは話す。
長時間煮込んで作るトンコツスープに、酒粕と味噌を加えるのだが、意外なほどスープはサラサラで、味もあっさりとしているのが特長。ブレンドして少し煮込むことで、よりマイルドでまろやかな仕上がりになるのだそう。このスープのバランスが最も重要で、バカス鍋の味わいを左右するのだそう。「時季や素材によって、トンコツの濃さや味わいがぜんぜん違うんです。それを調整して、均一の味を作り出すのは、とても難しいことなんですよ」と高浜さんは言う。



「おみき田楽セット」1人前2980円。全部で24種類もの具材を楽しめる。

定番の「おでんセット」(一人前1980円)には牛スジ、玉子、大根、ごぼ天、豚つみれ、ちくわ、餅きんちゃくとレタスなどの野菜盛りがセットになっている。「今では、鍋にレタスを入れるということも浸透してきていますが、当時はとても珍しがられたそうです。レタスは創業当時から入っているんですが、当時は鍋野菜というと白菜や白ネギなどが定番で、レタスを鍋に入れるところはほとんどありませんでした」というように、バカス鍋は当時、画期的に新しい鍋料理だったようだ。
3つの具材が1本の串に刺さった「おみき田楽セット」も人気が高い。シューマイ、ウインナー、かしわが刺さった「花かんざし」、湯葉、穴子、ひろうすの「三人娘」など、ネーミングも昔のままだそう。8本セットになっているので、一人前で24種類の具が一度に楽しめるのという優れもの。名物のひとつでもあるたこのやわらか煮は女性に人気が高い。各具材はそれぞれ煮込まれ、下味がついているため、ダシに入れ、温まれば食べごろだ。
その他にも、カキやタラの白子など、旬の食材が裏メニューとして具材に登場することもある。「カキは身がふっくらしてきたら食べごろです。白子もさっと火を通すくらいが、甘みがあって美味しいんですよ」と高浜さんも太鼓判を押す。
最近、注目度の高い柚子胡椒を付けて食すスタイルも30年以上前からというから、その先見の目は見事だったと言えよう。

体を芯から温める鍋は冬にピッタリ

バカス鍋の食べ方は、具と一緒にダシをどんどんすすること。ダシを美味しくするためには、どんどん具を入れていくこと。そのため、おでんでもあるが、鍋でもあり、そして、具沢山のスープと言っても過言ではない。酒粕や糟汁が苦手な人でも不思議といけるのだそう。酒糟の効果で、じっくりと身体が芯から温まっていく。
シメには8割が注文するという中国麺がオススメだ。たくさんの具材から出た旨みが融合したダシを最後までじっくりと堪能してほしい。
体が温まる鍋はやはり冬に人気が高い。「常連さんの多くは、肌寒くなってくると、この味が恋しくなるそうです」と高浜さん。そのため、予約をオススメしたい。
最近では、女性のお客さんが増えたと話す高浜さん。酒粕のダシが体の芯から温めてくれるのと、多くの野菜を食べられる点がその理由のようだ。「より多くの人にこの味を知ってほしいですね。そのためにも、この味を守っていきます」と高浜さんは締めくくった。



「大阪人が愛したこの味を守り、次世代へ引き継いでいくのが私の役目なんです」と三代目店主の高浜さんは話す。


手書きのイラストメニューは初代オーナーの作。

大阪市中央区北浜3-1-14 タカラ淀屋橋ビルB1
11:00~4:00、17:00~23:00(ランチ時の鍋は事前予約のみ)
/ 日祝
地下鉄御堂筋線、京阪本線淀屋橋駅より徒歩1分
TEL:06(6202)1028
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